水素トリートメント
水素トリートメントと酸熱トリートメントの違い|働く場所で選び分ける
「髪質改善」と書かれたメニューを並べてみたけれど、水素、酸熱、縮毛矯正、名前が違うだけで何が違うのか分からない。予約ボタンの前で手が止まってしまった、という方は本当に多いです。写真はどれもツヤツヤで、説明を読んでも「ダメージに」「うねりに」と似たことが書いてある。ここが分かりにくいところですよね。この2つ、実は髪の中で働きかけている場所そのものが違います。そこが分かると、自分がどちらを選ぶべきかは意外とはっきりします。
まず前提|髪はどんな構造をしているのか
選び分けの話をする前に、髪の構造を一度だけ整理させてください。ここを共有できると、あとの説明が一気に短くなります。
髪は大きく三層です。一番外側がキューティクル。うろこのように重なって内部を守っている、いわば屋根瓦のような部分です。ここがきれいに寝ていると光がまっすぐ反射して、ツヤとして見えます。逆に浮いたり欠けたりすると、光が散ってパサついて見える。ツヤの正体は、髪の色や太さよりもこの表面の状態です。
その内側にあるのがコルテックス。髪の8割以上を占める本体で、水分や栄養を抱えているところです。カラーの色素が入るのも、うねりや癖の性質が決まるのも、主にここ。そしてコルテックスの内部では、たんぱく質同士が細かい橋のような結合でつながって形を保っています。
さらに中心にメデュラという芯がありますが、これは今回の話にはあまり関わってきません。
つまり髪の悩みは、ざっくり「表面と内部の状態が乱れている」タイプと、「内部の結合の並びが乱れている」タイプに分かれます。前者はパサつき・ごわつき・広がりとして、後者はうねり・ハネ・毛先のまとまらなさとして表に出てきます。水素トリートメントと酸熱トリートメントは、それぞれ違うほうを担当していると考えてください。
なぜ水素トリートメントは「パサつき」に向くのか
水素トリートメントが担当しているのは、髪の内部にたまったダメージの要因のほうです。
カラーやブリーチ、パーマの薬剤には酸化を伴う反応が使われます。この反応が終わったあと、髪の中には反応の残りや、酸化の元になる物質が少しずつ残っていくと考えられています。ここに水素を届けて反応させ、水と一緒に外へ持ち出す、という考え方の施術です。「加える」より「取り除く」寄りの発想ですね。
加えて、多くの水素トリートメントは低い温度で扱えます。強いアイロンの熱をかけずに進められるので、すでに熱で疲れている髪に追い打ちをかけにくいのが実際の利点です。
ですから向いているのは、こういう方。カラーを定期的に続けていて、以前より手触りがざらつく。乾かした直後はまとまるのに、時間が経つと毛先がふくらむ。トリートメントをしても持ちが短くなった。指を通したときに、根元と毛先で別の髪みたいな感触がする。
朝、鏡の前で毛先を触って「昨日はもう少しまとまっていたのに」と思う日が増えてきたら、髪の内部の環境が乱れているサインとして受け取っていいと思います。
ただし、水素トリートメントは髪の形そのものを変えるものではありません。うねりが伸びる施術ではないので、癖が悩みの中心にある方が水素だけを選ぶと「思ったのと違う」になりやすい。ここは正直にお伝えしています。仕上がりの度合いも、もともとのダメージの深さや髪の太さによってかなり差が出ます。
なぜ酸熱トリートメントは「質感の乱れ」に向くのか
酸熱トリートメントは、内部の結合のほうに働きかけます。
酸性の薬剤を髪に入れ、そのあとアイロンの熱を加えることで、髪の中のたんぱく質同士に新しい結びつきを作っていく施術です。名前の「酸」と「熱」はそのまま工程を表しています。結合が増えると髪の内部の密度が上がり、まとまりやハリが出て、表面も整いやすくなる。だから「ツヤが出る」「広がりが落ち着く」という変化として感じられます。
向いているのは、髪が細くて柔らかく、湿気で膨らむ方。ゆるいうねりがあって、ブローで伸ばしてもすぐ戻ってしまう方。毛先がぼんやり広がってスタイルの輪郭がぼやける方。梅雨の時期、雨の日に外に出た瞬間に前髪が浮いてくる——あの感覚に心当たりがあるなら、酸熱の領域に近いと思います。
ただ、注意点もあります。酸熱は熱を使う施術です。ブリーチを繰り返した髪や、極端に体力の落ちた髪では、熱に耐えられず硬くなったり、逆にごわついたりする場合があります。また、強い癖をまっすぐにするものではありません。癖をしっかり伸ばしたい場合は縮毛矯正の領域で、これは別の話です。
手触りの変化は続けるほど積み上がりやすい一方、1回でどこまで変わるかは髪質次第。当店では初回はやや控えめに設定して、次回に調整することが多いです。
迷ったときの選び分け|自分の悩みはどっち寄りか
ここまでを一枚に畳むと、こうなります。
・パサつき、ざらつき、カラーの繰り返しによる質の低下が中心 → 水素寄り ・うねり、広がり、まとまらない、ハリがない → 酸熱寄り
判断のコツをひとつ。乾かしたあと、髪が「乾いて見える」のか「動きが乱れて見える」のかを見てください。乾いて見えるならダメージ側。ちゃんと潤っているのに方向がバラバラなら質感側です。
もうひとつの手がかりは、湿気との関係。湿度が上がると悪化するなら、内部の結合の乱れが関わっている可能性が高い。逆に、乾燥した季節に悪化するならダメージ側の要因が大きいことが多いです。
そして正直に書きますが、実際のところ両方混ざっている方が一番多いです。カラーもしていて、もともとうねりもある。その場合はどちらを先に整えるかの順番の話になります。私たちは、まず土台を落ち着かせてから形を整えるほうが結果が安定しやすいと考えていて、髪の体力が落ちている方には水素側から入ることが多いです。ただこれも決まった正解ではなく、その方の生活リズムや、次のカラー予定によって変わります。
どちらか決めきれないまま来ていただいても構いません。Avelleは4席以下の小さなサロンで、1人のスタイリストが最後まで担当します。髪を実際に濡らして、伸ばして、乾かしたときの反応を見てから提案したい、というのが本音です。文字だけで決められることには限界があります。
どちらを選んでも変わらないこと|持ちを支えるのは家のケア
最後に、施術の種類より大事かもしれない話をさせてください。
水素でも酸熱でも、サロンでの仕上がりは出発点です。そこから何週間その状態に近い髪でいられるかは、家での扱いでほとんど決まります。
ポイントは三つ。ひとつめ、洗浄力。強すぎるシャンプーは、入れたものも整えた表面も早く流してしまいます。ふたつめ、乾かす習慣。濡れたままの髪はキューティクルが開いていて、摩擦にとても弱い。自然乾燥を続けると、施術の持ちは目に見えて短くなります。みっつめ、アイロンの温度。高温を毎日当てれば、どんな施術も追いつきません。
この三つを整えるだけで、次の来店までの体感がかなり変わります。当店ではシャンプー選びから乾かす順番まで、その方の髪と生活に合わせてお伝えしています。売るためではなく、次に会うときの髪を良い状態にしておきたいからです。
メニューでいうと、カット+選べるトリートメントが9,900円〜(約90分)、カラー+選べるトリートメントが14,300円(約90分)。トリートメント単体もご用意していますが、どれを組み合わせるかは髪を見てからのご相談で問題ありません。ロング料金はいただいていないので、長さで迷う必要もないかと思います。
まとめ
水素は髪の内部環境、酸熱は内部の結合。働きかける場所が違うので、パサつき寄りか質感の乱れ寄りかで選び分けるのが一番シンプルな考え方です。とはいえ両方が混ざっている髪も多く、順番の判断は実際に触ってからのほうが確かです。自由が丘駅から徒歩4分、少人数のサロンです。決めきれないまま、髪を見せに来ていただければと思います。
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